試行錯誤を重ね、デジタル印刷は KIDO PACKAGINGの第二の柱へと成長した。 そして「HappyPackaging」は新たな開拓経路をつくり、グラビア印刷とデジタル印刷はシナジーを生み出し、大手企業に負けない強さを持つ体制ができ上がっていく。 間もなく100周年を迎えるKIDO PACKAGINGが取り組んだこのプロジェクトを振り返り、今後の挑戦と未来の展望を語る。
Y.S.(デザイン): デジタル印刷に思いっきりチャレンジできたのは、やはりグラビア印刷という確固たる柱があったからだと思いますね。 帰る場所ではないですけど、屋台骨がしっかりしているから、もう一本の柱を作る方にも注力ができる。
N.S.(営業): Y.S.(デザイン)の上司も、私の上司もそうですけど「いけいけ、ええからやれ」と後押ししてくれるのも、へこたれず前に向かっていけたポイントだと思いますね。 失敗を恐れずに前に進む姿勢は、先輩に教わった大きな財産だと思います。
Y.S.(デザイン): 言える失敗というか、これはグラビア印刷でも起こるんですが、白の扱いが難しい。白を入れるのはどこか、白を入れずに素材の色で光らせるのはどこか、デザインには細かい調節があるんですが、 (デジタル印刷は)これがちょっと感覚がズレるんですよね。 自分のイメージしていた仕上がりとは違う。説明不足なところもあって、よく見たら送ったデータ上の行き違いミスだったり。 でも仕上がりには問題なく、細かすぎるこだわりのレベルで充分納品できるのですが、自分としては失敗したなと、デジタル印刷を取り入れたことで注意点が増え、ここは新たな成長につながりました。
K.T.(データ作成): KIDO PACKAGINGはワンチームでやっているので、デザイン、データ作成、印刷工程の連携のスピードは速い。 ヒューマンエラーでミスがあってもすぐに社内でリカバーできるところは、グラビア印刷から長年培われたKIDO PACKAGINGならではの連携の強さかと思います。 グラビアで製造したデザインをそのままデジタルに変換して欲しいと持ってこられて、再現が難しいときや、対処が難しくてミスが起こりかねないときも速やかに連携して知恵を出し合っていました。 ミスした商品を市場流通することはできないので、そこは細心の注意を払うところでもあり、しっかりとした連携があるところには自負をもっています。
A.Y.(生産管理): 生産量の調整が苦労したところですね。グラビア印刷であれば印刷フィルムの長さがメイン指標なため数量枚数は多めに納品することが一般的。 デジタルの印刷は数量限定で印刷して納品しているので、逆に納品数が多いと「なぜですか?」とお叱りをいただくこともありました。
K.O.(製造): 色味が合わない。インクが均一に乗らない。データ通りに出力されず、微妙にズレが生じる。刷り始めと刷り終わりとが色が違うこともあって、どうしようかと悩みました。 グラビアとデジタルとは工程が異なるので「最新のデジタル印刷技術」とはいえ、グラビアと同じ色出しが難しいということを経験できたのは大きかったです。
K.T.(データ作成): グラビア印刷だと薄い色が出しづらいんですが、デジタルだと1%から薄い色を出せるんです。そこまで誰が調節するのかという話はありますが、再現性がすごい。 こんな小さい文字が印刷に反映されるんだというレベルで出る。グラビア印刷では出せなかったパッケージが作れる半面、印刷の再現度の違いをしっかりと説明しないといけないことは、やっていての気づきでした。
社長木戸: グラビア印刷、デジタル印刷、それぞれの良さを生かしたシナジーも生まれましたね。
N.S.(営業): そうです。グラビア印刷なら難しい小ロットの試験販売にデジタル印刷が使える。『テスト販売』として売れたらグラビア印刷で量産するという方法もできるわけです。 その場合は印刷方法が変わることで再現度が変わるので事前調整は必要になりますが、営業手法の幅は大きく変わりました。
N.S.(営業): 他社が参入してきているので、競争の環境に入り始めている。価格競争で戦うのは嫌なので、製品の納期、仕上がりのクオリティ、信頼感などで勝負して、より顧客が手に取りやすい状態を作って、 先駆者として戦っていきたい。
Y.S.(デザイン): 『KIDO PACKAGING=デジタル』というブランド力を上げて、世の中に広げていきたい。私たちの中では、この10年実績を着実に積み上げてきたのですが、それを世の中の認知に繋げていって、 デジタル印刷ならKIDO PACKAGINGだよねというくらいの知名度に高めたいと思っています。
A.Y.(生産管理):
年間の取扱高をもっと高めていきたい。昨年12月に歴代最高の売上を上げました。確かにその時は忙しかったんですが、さらに伸ばしていきたい。
あと、現状はデジタル印刷機が2台ありますが、それぞれの機械特性を生かして、印刷できる商品領域を広げていけば、もっと生産量が上がるので、その開発をしていきたいです。
N.S.(営業): 今までならグラビアで大量印刷していたお客さんが、パッケージを余らせないように総量を絞って印刷できるデジタルに変えてきている。 単価が上がってもいいという判断で無駄をなくしてきている。フードロスやSDGsに敏感になってきていて、食品メーカーも「売れる分だけ作る」という思考に随分と変わってきていることは実感しています。
Y.S.(デザイン): デジタル印刷はデータがあれば印刷できるという利点があります。ここに加えて、データを元に色を変える、柄を変えるなど、細かい変化をさせた印刷を行うことができる。 グラビア印刷は同じ柄を大量に生産するしかできないですが、デジタル印刷は、例えばデータを50個繋げたら1から50まで違う色柄の印刷ができる。こういう特性を生かした印刷がこれから増えてくるのかな。 こういう市場が増えたらマーケットも増えそうです。 あと、スタッフの技術を上げてグラビア・デジタルを合わせて質の高い商品を増やしていきたいです。
K.O.(製造): 最初は印刷より機械をメンテナンスすることの方が多かったですが(笑)、今は印刷量も増えてきていてフル稼働できています。 どんどんデジタル印刷の稼働が上がって、新しい機械を導入してさらに市場を作りたいです。 あと、後輩を育成し始めているので、パイオニアとして培った知見を社内に展開して、KIDO PACKAGINGのデジタル印刷の品質がさらに上がるように、腕のいいスタッフを増やしていきたいと思っています。
K.T.(データ作成): AIとか自動化とかも進めて、簡素化できる工程は簡素化して利益を追求できる構造に進化させたいと考えています。 最後に、みんパケの最初の受注の時、社長と「ぐっ」と握手したあの時が一番感動したので、ああいう体験をもっと増やしていきたいと思います。
取締役西出: 今以上に強い営業体制を作っていきたいです。デジタル印刷を入れたことでアポイントがとりやすくなった。 顧客からのWeb経由の問い合わせも増えたが、営業が直接顧客との窓口を持っていることは依然最大の強みなので、こちらから営業を行うという攻めの姿勢を忘れずに、 デジタル印刷を武器にさらに強い営業を行える体制にしていきたいなと思っています。
社長木戸:
デジタル印刷に関しては形になったのですが、パッケージのネット印刷通販事業HappyPackagingに関しては、さらに伸ばしていきたい。
デジタル印刷全体では確固とした会社としてのコア事業にまで成長させていきたいですね。
会社全体においては、どんな素晴らしいビジネスモデルにも人材にも寿命はある。KIDO PACKAGINGの企業理念に『自主創造』という言葉があります。
デジタル印刷事業の立ち上げでは「ビフォーコロナ」と「アフターコロナ」くらいの大きな変化を、このメンバーを中心に社員全員が体験できました。
その体験をこれからの若手に伝えてもらって、理念・社風・姿勢を永遠に引き継いでもらって、デジタル事業のような成功体験をこれから入社する皆さんにも経験してもらって、
成功の循環が永続することが私の究極の目標です。
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